ラスベガス　エンターテイメント情報

　今回新たに公演がスタートしたSurf The Musical/サーフ･ザ･ミュージカルは60年代に一世を風靡したThe Beach Boys/ビーチ・ボーイズの楽曲に乗って展開される新感覚のミュージカル。ミュージカルの本場ブロードウェイでも演出を手がけ、Rock of Ages/ロック・オブ・エイジズではトニー賞にもノミネートされた経験を持つKristin Hanggi/クリスティン・ハンギィが演出家として抜擢され、本場ブロードウェイとは一味違ったラスベガスならではのセクシーな作品に仕上がっている。

　物語は1960年代のカリフォルニア舞台に主人公Tanner/タナーと昔の彼女であるBrooke/ブルーク、そしてBrookeの新しい恋人Rip/リップの間で繰り広げられる淡い青春の恋物語。ステージ全体に大型LEDスクリーンを設置し、そこに映し出されるサンタモニカの桟橋や、海に沈む美しいサンセットなどはまさに太陽と海の街カリフォルニア。

　そのほかにも美しく手入れの施されたシボレーのオープンカーや、クラシックな水着に身をまとった女性達は60年代を忠実に再現し、まるで劇場ごとタイムスリップしたかのような錯覚さえ覚えるほどで当時青春時代を過ごした人には堪らない空間が用意されている。そして、ショーの見せ場でもある音楽は『Fun, Fun, Fun』や『Don't Worry Baby』、『Surfer Girls』などビーチボーイズの楽曲をメインにオリジナルの楽曲も合わせ、最後のフィナーレは彼らの大ヒット曲『Surfin' USA』で客席を巻き込んでのエンディング。

　ラスベガスのショーがブロードウェイのものと異なる点として殆どのショーが90分に収められている点があり、Surf The Musicalも約1時間半の間に3人を中心とした恋物語がテンポ良く描かれている。そして、演技力や歌唱力も勿論ながらエンターテイメント性が強くショーガールのような美貌を兼ね備えた出演者が多く見られるのもラスベガスのショーの特徴かもしれない。60年代に青春を過ごした人であれば昔の初恋を思い出し、幕が閉じる頃にはすっかり60年代の古き良き女性に憧れを抱いているかもしれない。