ミシュランガイドでもお馴染みの三ツ星シェフ ピエール・ガニェール氏が有するアメリカ国内唯一のレストランTwist By Pierre Gagnaire/ツイスト・バイ・ピエール・ガニェール。数あるラスベガスのレストランの中でも最も評価の高いレストランとして、Forbesのレストランガイドでは同じく三ツ星シェフのジュエル・ロブション氏、ギー・サヴォイ氏らと毎年最高ランクの評価を得ている。そんな高級レストランがひしめくラスベガスにあって世界のグルメ家達を唸らせる唯一無二の一流レストランでも日本人が活躍している。ジュリアン・セラーノやジュエル・ロブションの下で経験を積み昨年2014年よりTwist by Pierre Gagnaireのペイストリーシェフとしてデザート全般を任せられている佐々木 愛さん。長年一流店で培ってきた経験と日本人ならではの繊細さ、発想でピエール・ガニェール氏からの信頼も厚い今後が楽しみな日本人パティシエに独占インタビューをさせて頂いた。
今日は御忙しいなかお時間を頂きありがとうございます。まずご出身を教えて頂けますか?
佐々木:いえいえ、とんでもないです。私は生まれ育ちは仙台なんですが、父が神父をしていて14歳の時に家族でアメリカに来て以来もうずっとアメリカ暮らしです。
今までの経歴を教えて頂いてもよろしいですか?
佐々木:アメリカの高校を卒業してから、Le Cordon Bleuという製菓学校に行きました。その後アリゾナにあるRoyal Palms Resortなどで仕事をして、6年ほど前にラスベガスに来ました。ラスベガスに来てからはまずBellagioのPicassoで1年ほど仕事をして、MGMのJoel Robuchonで4年くらい、そして昨年からTwistのパティスリーシェフを任せて頂いています。
Twistにはどういう経緯で移って来られたんですか?
佐々木:結構ラスベガスってコミュニティーが狭いので、今どこの店のどのポジションが空いてるとか、ダレがどこどこに行ったよ、なんて話はよく耳にするんです。それで、ちょうどTwistのポジションが空いてるという情報を耳にしたので、上の人達にテイスティングを一度して頂いて正式にパティシエとして呼んで頂きました。私の前のTwistのパティシエとは顔見知りだったりして、その彼がNOBUに行って、私がTwistに来て、それでNOBUにいた人が今はロブションに行ったり結構みんなお店を回っていたりするんですよ。
現在のTwistでのポジションはどんなお仕事ですか?
佐々木:ペイストリーシェフというポジションなんですが、Twistのデザート類を全て担当しています。その他にも、ちょっとした前菜の飾り付けを作ったりなどと言う仕事も一応パティシエの仕事ですね。
どうしてパティシエになろうと思ったんですか?
佐々木:小さい頃からキッチンに立っていて、母親の手伝いで料理をしたり何かを作ったりするのはもともと好きだったんです。高校を卒業して19歳の時にLe cordon bleuの体験入学みたいなのがあって、その時に実際にLe cordon bleuでみた講師の方たちの盛り付けだったり料理が凄く魅力的だったので、それで一気に道が開けたというかパティシエになりたいなという思いが強くなりましたね。
では、なぜCookではなくて製菓専門のパティシエだったのですか?
佐々木:Cookの仕事とパティシエってやっぱりちょっと違うんですよね。Cookの仕事も料理のお皿の盛り付けとかが凄く大切なんですけど、パティシエはもうちょっと絵とか美術に近い芸術ぽいなぁと私は思って、休みの日に絵を書いたりとかアートも大好きだというのもありますし、甘いものも好きですしね。
今ちょっとお休みの日の話が出ましたが、やっぱりお休みの日も料理をしたりされるんですか?
佐々木:そうですね(笑)。お菓子以外にも料理は好きなので、休みの日にちょっと料理したりしますね。後はやっぱり絵を書いたり、近場の州立公園でハイキングをしたりとか大都会にいるからこそ大自然に行きたくなったりはしますね。やっぱりラスベガスで仕事をしていると、仕事の日しかストリップには来ないですよね。
ではTwist以外でラスベガスでお勧めのお店とか教えて頂けますか?
佐々木:ストリップだとベラージオにあるピカソとかですかね。本田さんという日本人の方がシェフをされているんですけど、本田さんは私のおじさんみたいな方でいっつもとてもかわいがって頂いたりとても面白い方なんですけど、お料理ももちろん、ピカソはお店もお洒落ですしお勧めですね。 オフストリップだとチャイナタウンにあるRaku/ラクとSweets Raku/スウィーツ・ラクはお勧めです。スウィーツ・ラクはOpen時に少しお手伝いをしていた事もあるんですが、凄くどのお料理も日本から来られる日本人の人が食べても美味しい!と思えるお料理で凄くお勧めです。
レストラン以外にラスベガスでお勧めのスポットはありますか?
佐々木:やっぱりベラージオ。ベラージオは噴水もそうですし、ガーデンとかはラスベガスに住んでる私でも見に来たりしますし友人とか連れてくると喜びますよね。あとはウィンもすっごくお花とかがいつ行っても綺麗ですし、滝が流れてたりするんですがそれもとっても綺麗ですよね。ここのマンダリン・オリエンタルからの夜景もすっごくお勧めです。ここはダレでも入って来られるじゃないですか、ロビーラウンジのティータイムも凄く有名ですし、夜景を見てあっちのバーで一杯飲んで、バーは凄く飲み物も美味しいですし、結構隠れ家的なお勧めスポットだと思います。
今のTwistと以前いらしたロブションとはやっぱり同じフレンチでも全然違いますか?
佐々木:全然違いますね。シェフ・ガニェールとロブションさんの個性も全然違いますし、ロブションさんはどちらかと言うと完璧を追求する神のような近寄りがたい存在だと思うんですけど、シェフ・ガニェールは凄く気さくな一面もあったり実際にTwistに来る前からシェフ・ガニェールの人間性というか「すっごくいい人だよ」っていう噂はみんなから聞いていたので、いい意味で本当に親しみ易い方です。勿論、仕事中は怒られたりもするんですが、そんな時もしっかりと目を見て心をこめて伝えようとしてくれるので、なかなかフランス語と英語とのやりとりで100%言葉が通じ合うってのは難しいんですが、それでもしっかりと目を見て伝えてくれるので心に響くものがありますね。
シェフとしてのピエール・ガニェールさんは愛さんからみてどんな方ですか?
佐々木:とにかく芸術の才能が凄いんですよ!ホントっにひらめきとか、デザートにしても一瞬でコレとコレを合わせたら美味しい!って味を頭で思いついたりとか、やっぱり芸術家だなぁと思いますね。ソースを皿に盛り付ける時とかもまるで筆を持ってるみたいに、スラスラ~っと綺麗に描いたりとか近くでみていてもすっごいなぁと思います。本当にすっごい芸術肌の方ですね。
今年も先月発表されたForbesのレイティングではTwistが5つ星を獲得していましたが、Twistの魅力はどんなところですか?
佐々木:やっぱりシェフ・ガニェールならではの芸術的な料理は同じフレンチでも他のお店とはちょっと違いますね。結構ひらめきでメニューを作ったりしていますし。あとはシェフ・ガニェールの唯一のアメリカのお店と言うこと、それがこのラスベガスストリップの中心と言うロケーションですね。ジョエル・ロブションでもギー・サヴォイでもこの夜景は絶対見られない、ココだけですからね。
愛さんが作られるTwistのデザートの特徴はどんなところですか?
佐々木:デザート自体のレシピはフランスのシェフ・ガニェールのお店から送られてくるんですが、アメリカでは手に入らないスパイスとかもあるので、その辺は少し工夫したり、盛り付けは完全に任せられているので1つのアート作品だと思って楽しんで頂ける様作っています。あとはシェフ・ガニェールのスタイルがやっぱりちょっと独特なんですが1つのデザートを注文してもいくつもお皿が出てくるスタイルなので、お客さん自ら食べ合わせなどを楽しみながら食べてもらえますし、ショコラがあったり、フルーツがあったり、アイスクリーム、ソルベがあったりシェフ・ガニェールならではのちょっと変わった組み合わせがあったりするのはTwistならではだと思います。
今、特に注目されている食材とかよく使用される食材なんかはありますか?
佐々木:そうですね。栗とウィスキーの組み合わせがすっごく相性がいいので、最近はよく栗を使用したり、シェフ・ガニェールはとにかく何にでもアルコールをこれでもかってくらい入れるので・・・(笑)、結構何にでもアルコールを使っているんですよ。今後はやっぱり私も日本人なので味噌とか日本の食材でお菓子を作ったりチャレンジしたいと思っています。梅干でアイスクリームとかソルベとかちょっと塩分のある物とかいいなぁと色々とアイディアを貯めています。シェフ・ガニェールには敵わないですけどね・・・(笑)
やっぱりフランス料理のフルコースだとお値段が張ってしまうので・・・・次回はデザートだけ食べに来たいなぁなんて思うんですが・・・
佐々木:あっ!全然大丈夫ですよ!是非是非(笑)。実は結構そう言うお客さまのいるので、ここ(マンダリンオリエンタルのコンドミニアム)に住んでいる方とかはデザートだけ食べに来られたりとか、デザートのアラカルトは$16~$25位なのでデザートだけなら税金とチップを含めても一人$40~$50もあれば十分ですし、予約を入れて頂ければ私もご挨拶に伺いますので是非いらしてください。
プロフィール | 佐々木 愛 Ai Sasaki |
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宮城県生まれ。中学生の頃アメリカ・アリゾナ州に移住。高校卒業後は世界的に有名な製菓専門学校Le Cordon Bleuを卒業し、パティシエとしてのキャリアをスタート。2009年よりラスベガスに移りベラージオのピカソ、MGMグランドのジュエル・ロブションなどでキャリアを積み2014年に現在のTwist by Pierre Gagnaireにてデザートの責任者であるペイストリィー・シェフに就任。 | |
Twist by Pierre Gagnaire | http://www.mandarinoriental.com/lasvegas/fine-dining/twist-by-pierre-gagnaire/ |
日本語でのご予約: | http://ptsjapan.com/restaurant/934-mandarinoriental-twistbypierregagnaire.html |