禁断の香りのサーカス?Absinthe/アブサンの観劇レビュー
シーザーズパレスホテルで3/21から始まったショーABSINTHE。フランス語読みではアブサン、英語読みではアブシンスと発音するらしい。推測ではあるが20世紀初頭に常習性があり幻覚症状を起こすとされて「禁断の酒」といわれたアブサンに由来するのではないかと思う。
なぜそう思うか?
シーザースパレスの優雅なたたずまいに反して、正面玄関左の大きな広場にしつらえられたアブシンスの劇場。それは劇場というより、退廃と猥雑な香りがする20世紀初頭の見世物小屋的たたずまいであり、まるで映画「エレファントマン」に出てきそうな怪しい雰囲気に満ちていて、このエリアだけ時代錯誤な空気感がある。しかしこの異質なたたずまいが逆に興味を惹かせる。
どんなショーが披露されているんだろう?
中では何をしているんだろう?
劇場とされる掘っ立て小屋に足を踏み入れると、中はまるでサーカステントの中のようなしつらえになっており、中央に小さなステージを備えた小ぶりな円形劇場になっていた。時間を100年ほどさかのぼった異次元に彷徨い込んだような錯覚を起こさせる。その小さなステージですべてのショーが行われる。
期待のショーの内容は驚いたことにシルクドソレイユのアクロバットパフォーマンスに堂々と肩を並べる実力を見せ付け、あまりの素晴らしさにスタンディングオベーションが相次ぐ。見ているだけで腹筋に力が入ってしまうようなミスティア的アクロバットや、小さなステージで披露されるローラースケートを履いてのジャイアントスイングなど、歓声ともため息ともつかないどよめきが会場を埋める。「素晴らしい!」という声が次々に上がり、ステージから降りるパフォーマーに観客がハイタッチを求める。
しかしその反面、パフォーマンスには猥雑さも併せ持つ。トップレスの女性達が数多く登場し、ズマニティの上品さを剥ぎ取ったような感じを受けた。 下品な言葉遣いのMCだが、「汚らしい」感じは受けず、もやはショーとしての表現の一部として受け取れるから不思議だ。
約2時間のショーだが、観客を巻き込んで大喝采と大爆笑のうちにショーは進み、時間が経つのが早く感じてしまう。時空のハザマに翻弄されたのだろうか?
このアクロバットパフォーマンスはショーチケット金額を考えると決して高くない。見終わった後、むしろお得感さえ感じてしまうと思う。名前の通り常習性があるのかもしれない。
公演名: | Absinthe アブサン/アブシンス |
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場所: | Spiegelworld at Caesars Palace スピーゲルワールド シーザーズパレス |
チケット料金: | $69.00 $99.00 (税・劇場手数料別) |
公演期間: | 2011年3月21日~9月未定 |
公演時間: | 火・木・金・土曜日:19:30/21:00 水・日曜日:19:30 |
休演日: | 月曜日 |
連絡先: | (702)625-1516(日本語) Ticket@PTSjapan.com |